依存偏愛

静かに流れていく時間。
その沈黙を破ったのは、いたたまれなくなった私だった。


「……で、旭ちゃん。旭ちゃんの話って何なの?」

「うん。あのさ……、」


急に歯切れの悪くなった旭ちゃんの視線が、ゆっくりと私に向けられる。何だか嫌な予感がしつつ耳を傾けていれば、変わらない声が鼓膜を刺激した。


「あのさ雫、あたし達、もう、やめよう。」

「え?何を?」


いきなりやめようだなんて、一体何を?
戸惑いを顕わにしたまま問いかければ、相変わらず真剣な瞳が私を見返してくる。

…――そして、


「あたし達、もうお互い、誓いに囚われて生きるの、やめよう。」


言い放たれた言葉に、一瞬、私の周囲の時間が止まった気がした。
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