依存偏愛
「…ねえ笹川さん。そーいえばもう1人、マネやってた人いたよね?確か、片倉とかいう静かな子、いなかったっけ?」
そして紡がれたのは、大切な片割れの話。
今現在、自分でも旭ちゃんのことを考えていたのもあって、小さく笑みが零れる。
「うん、いたよ。片倉旭ちゃん。私は旭ちゃんと一緒に、マネやってたの。」
「だよねえ。……でもあたし、あの子苦手だったなぁ。滅多に笑わないし、無表情だし。何考えてるかわかんない。笹川さん、よくあんなのと一緒に仕事できたよね。」
尊敬するよ。そう言い足し、畑島さんは着替えを再開した。でもその言葉を聞いた刹那、私は自分の表情が強張ったのがわかった。
だって今、彼女は何と言ったの?
旭ちゃんのことを、馬鹿にした?
今の畑島さんの言葉が、頭の中を反芻して離れない。確かに旭ちゃんは、そんなにいっぱい笑わないけれど。確かに、無表情かもしれないけれど。
本当は誰よりも優しくて、私を守ってくれる。何にも知らないくせに、旭ちゃんを悪く言うなんて許せなかった。