依存偏愛

誓いなんてなくたって、あたし達は双子。
それは未来永劫変わらない。

お互いを縛り付けるような足枷なんて、もう必要ないんだ。


「…あーちゃん、」

「素直になりなよ、雫。あたしに遠慮することなんて、ない。」


雫が何を思っているのか、感じているのか、大体を推測することはできても、完璧に理解することはできない。

それはあたしも雫も別の人間なのだから当たり前で、全て根本の深いところまで共有しようとしていたこと自体、間違っていたのかもしれない。


「あたし達、ほんの少しだけ、他人を受け入れてみよう。」

「でも……っ!」

「大丈夫。あたしが雫の味方なのは、変わらないから。」


だから少しだけ……
ほんの少しだけでも、他人を受け入れてみよう。ちょっとだけ、信じてみよう。

そう思った刹那、右腕に走る十字の傷痕が、ズキンと少し痛んだ気がした。

まるであたし達の狭い世界を、
壊すかのように。





【CHAPTER:10/side*ASAHI/END】
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