依存偏愛
「……嫌がっても傍にいるのは、今までと同じじゃん。」
苦笑をこぼしながら、そう悪態ついてうずめていた顔を上げれば、刹那、椎名が驚いたような表情を浮かべる。
「笑った…」
「は?」
「いや……」
だけど見たこともないような顔してあたしから顔をそむけるから、結局意味がわからないままで。まるでその代わりとでもいうように抱きしめる力が強まった。
「ちょ、椎名、」
「好き、ぜよ。旭が。」
あたしの言葉を遮るように、再び紡がれた言葉に、あたしがさっき雫に言い放った言葉を思い出す。
“あたし達、ほんの少しだけ、他人を受け入れてみよう。”
そうだよ。あたしたちの世界は、もうふたりだけじゃない。
あたしも雫も、前に踏み出さなければいけない。恐れずに、新しい世界に踏み出さなければ。
「……ありがと。」
茜色に染まる屋上、それだけ小さく呟いて、あたしも椎名にぎゅっと抱きつく。
…―――大丈夫、怖くなんてない。
椎名から伝わるぬくもりと想いに、心が少し軽くなった気がした。
【EPILOGUE/side*ASAHI/END】
苦笑をこぼしながら、そう悪態ついてうずめていた顔を上げれば、刹那、椎名が驚いたような表情を浮かべる。
「笑った…」
「は?」
「いや……」
だけど見たこともないような顔してあたしから顔をそむけるから、結局意味がわからないままで。まるでその代わりとでもいうように抱きしめる力が強まった。
「ちょ、椎名、」
「好き、ぜよ。旭が。」
あたしの言葉を遮るように、再び紡がれた言葉に、あたしがさっき雫に言い放った言葉を思い出す。
“あたし達、ほんの少しだけ、他人を受け入れてみよう。”
そうだよ。あたしたちの世界は、もうふたりだけじゃない。
あたしも雫も、前に踏み出さなければいけない。恐れずに、新しい世界に踏み出さなければ。
「……ありがと。」
茜色に染まる屋上、それだけ小さく呟いて、あたしも椎名にぎゅっと抱きつく。
…―――大丈夫、怖くなんてない。
椎名から伝わるぬくもりと想いに、心が少し軽くなった気がした。
【EPILOGUE/side*ASAHI/END】