依存偏愛
そして再び、学校への道程を歩き出す。
良いなんて一言も言っていないのに、勝手にあたしの横を歩く椎名の存在を無視して、ただ黙々と。
そんなあたしに痺れを切らしたのか、椎名は再び口を開いた。
「……のう、片倉。さっきも聞いたが、何でおまんがこっちに居るん?」
「…………。」
「なぁって、」
「……しつこい。推薦だけど文句ある?」
椎名のしつこい問いに、わざわざ足を止めて答えてあげた。珍しく、一瞬面食らったような表情を浮かべた椎名は、刹那、さも可笑しそうに声を噛み殺して笑う。
「文句なんて無いぜ。ただ、気になっただけじゃき。推薦なら、な。まぁ、納得できる答えだしな。」
……じゃあ、納得できない答えって何なの。
めんどくさいから聞き返しはしなかったけれど、一瞬そんな問いが頭をよぎる。
でも相変わらず笑っている椎名にこれ以上関わる必要も無いし、あたしは椎名に背を向けて歩き出した。
またすぐに、奴が横に並んできたってのは言うまでもないけれど。