依存偏愛
体育館への廊下はあまり日が差し込まないためか、春だというのにまだまだ寒い。
自然と早足になって体育館へと足を踏み入れれば、ここにはやっぱり見知ったメンツが揃っていた。
「あ、れ。もしかして、片倉さん……?」
「……。」
1番初めにあたしに声をかけてきたのは、あたしより1つ年上の結城明人。去年も合宿で見せ付けられた華麗なプレーが印象的で、良く覚えてたりする。
「何で、君が藤宮に?」
「……椎名と同じこと聞かないで。」
「あはは。そりゃごめんね。」
この人は、柔らかいっていうか何て言うか。
試合と練習のとき以外は、いつも優しく笑っていて椎名とはまた違ったタイプ。
だけどやっぱりその笑顔の裏は全て見透かしていそうで、得意なタイプじゃないっていうのは確かだったりする。
「明人、どうやら今年も選抜に選ばれたみたいだ……って、片倉か?珍しい顔だな。」
そんな折り、急に現れた人物へと視線を向ける。するとそこには結城と同様、あたしより1つ年上である上森快二の姿があった。