依存偏愛
…――全く、面倒臭い。
だから嫌なんだ、他人に関わるのは。
良いことなんかないし、ただ疲れるだけ。
でも、あたしを送り出してくれた雫の、たったひとつのお願い事だったから。何があってもあたしは、雫との約束は守らなければ。
制服の赤い棒タイをほどきながら小さくため息をつき、今ごろ雫は元気にやっているだろうかと、双子の片割れに想いを馳せた。
◆◆◆
「高校の方からは、2年の結城と上森。1年の椎名と蒼井。そして中学の方から、田原晴也。以上5名が、今年の選抜メンバーだ。」
練習終了後、整列の後に発表された選抜メンバー。中学の子以外はあたしも知ってる面々であり、毎年選出されてさすがだな、とは思った。本人達には言わないけれど。
「…――それで、合同練のときは片倉、お前が選抜メンバーについてくれ。うちはマネージャーが1人だからな。臨時のマネに、合宿等はさすがに任せられないだろ。」
同意を求めるように突如あたしへと視線を向けた顧問に、小さく頷く。
…――選抜メンバー専属なら良かった。
むしろ、嬉しい。
だってこれで、雫と会える機会が、必然的に増えたのだから。