依存偏愛
部員がそれぞれ解散し、男子更衣室に散って行った後、あたしは集めたドリンクボトルを手に体育館入口にある水呑場に向かう。
もちろん理由はただひとつ、そのボトルを洗うため。中等部で慣れた作業だけれど、雫が居ないとつまらないし、ぶっちゃけダルい。
普段めったに腕まくりしないジャージの袖をまくり、勢い良く出る水に手を付ければ、突き刺すような冷たさが感覚を刺激した。
「………はぁ。」
一体、これで今日何度目のため息だろう。
ため息をしたら幸せは逃げていくというけれど、それならあたしの幸せはきっともう無いに等しいんじゃないだろうか。
そんなくだらないことを考えて、より一層憂鬱になった。
「おうおう、やっとるのう。」
そんなあたしの背後から突如かけられた声。
あたしとしたことが、全く足音にも気がつかなかったなんて。
すぐ後ろにいる人物を想像し、またさらにあたしが憂鬱になったのは、言うまでもない。