依存偏愛
side*SHIZUKU
とうとう、待ち焦がれた藤宮大附属との合同合宿の日がやってきた。
……と言っても、今回は宿舎の都合で一泊二日の日程。旭ちゃんと2日間も一緒に居れないことを知ったときは、少しショックを受けたけれど。
「おい、そろそろ着くぞ。」
宿舎に向かうバス内、神部先輩のよく通る低い声が、後ろに座るあたしの耳にも届く。みんなにつられるように車窓を覗けば、見慣れた宿舎が目に映った。
「大谷、吉沢。あそこが、藤宮大附属と星南の合同合宿に使われる宿舎だよ。こっからは見えないけど、あの裏に練習の体育館があるんだ。」
初めての合宿参加である中等部の2人に、宿舎や練習場所について事細かく教える白戸くん。
その様子を微笑ましく見ていたら、もっと前方の席から、大城くんの声が聞こえてきた。
「お、何や。もう藤宮陣は来てるみたいやな。」
藤宮――…
旭ちゃん。旭ちゃんが、もう来てる。
久しぶりの再会を前にして、胸が高鳴るのを感じた。