依存偏愛

確信を持って振り向けば、やっぱりそこにいたのは旭ちゃんだった。


「旭ちゃん……っ!」


感極まって思い切り抱き着くと、旭ちゃんは優しく私の頭を撫でてくれる。

そんな旭ちゃんの顔を見上げれば、旭ちゃんは私に優しい笑顔を向けてくれた。


「……元気、そうだね。」

「うん!旭ちゃんも。」


毎日電話やメールをしているとはいえ、やっぱり直接会えるのが1番嬉しい。

まだほんの少ししか離れて暮らしてないけれど、改めて旭ちゃんの存在の大きさを実感させられた。


「よぉ、片倉。久しぶりだな。」

「……神部。」


そんなおり、私の背後からかけられた声に旭ちゃんの笑顔が消える。

とは言え別に、神部先輩が旭ちゃんの機嫌を損ねたわけではない。
ただ単に、旭ちゃんが他人との会話を好まないだけ。それは神部先輩だけではなく、星南学園の今のメンバーなら誰だって知っていることだ。
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