依存偏愛

「じゃあ両校集まったみたいだから、とりあえず一旦荷物を部屋まで運んで、1時に体育館に集合だぞ!」


不意に響いた星南学園顧問の一声により、各自荷物を手に宿舎へと足を踏み入れる。

この宿舎は3階建て。と言っても、私達が使うのは2階まで。
1階には広めのロビーや中庭、そして大浴場や食堂なんかがあって、ただの合宿にしてはわりと豪華な宿舎だと思う。

しかも練習場となる体育館とも渡り廊下でつながっているんだから、いつ見てもやっぱり凄い。

2階、男子が各々指定された部屋に入って行く中、私と旭ちゃんには1番奥の部屋があてがわれた。

いつも、合宿のときに使う部屋。
室内にはベッドと机が2つずつ。毎年何も変わらず、使い勝手に不満は無い。


「…あー、疲れた。」


まだ何も始まっていないのに、そう言ってベッドに倒れ込む旭ちゃんの姿に、思わず笑みが零れた。
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