依存偏愛
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1時からの練習は、私が思っていたよりハードなものだった。走り込みから始まり、サーキット、そしてパス練。
続いて3オン3が始まって、マネといえども動きっぱなし。しかも2回も顧問に怒られた私は有り得ないと思う。
けれどその度、何気なく旭ちゃんが私をフォローしてくれたおかげで、大きなドジをしなくても済んだ。
やっぱり旭ちゃんは凄いな、なんて、それはわかっていたけれど。
「よし、今から10分休憩!」
よく通る神部先輩の声が、体育館に響く。けれど、ようやく訪れた休憩時間も、私と旭ちゃんには休む暇はない。
タオルを配ったり何なりしている旭ちゃんを横目にしながら、私は空になったボトルを手に体育館を出た。
そして向かったのは、体育館出口のすぐ横にある水呑場。今のうちに新しいドリンクを作っておこうと思ったから。
蛇口を捻れば、噴き出す冷水。
まだ5月初めだというのに、さすがにこれだけ動き回れば暑い。額の汗を拭って袖を捲り冷水で顔を洗えば、少しだけ暑さが和らいだ気がした。