依存偏愛
「雫。」
そんな中、急に背後からかけられた声に驚いて勢い良く振り返る。するとそこには旭ちゃんがいて、ゆっくりと私に近づいて来る。
そして白い腕に浮かぶ自分の傷痕をさすってから、露わになっていた私の傷に優しく触れた。
「旭、ちゃん……?」
どうしたのだろう、いきなり。
旭ちゃんがこんなことをするなんて、珍しい。
何だか不安になって呼びかければ、刹那、旭ちゃんの表情が少しだけ曇った。
「……あのさ雫、あたしこの傷……、」
「おう。おまんら、こんな所で何してるんじゃ?」
けれど、旭ちゃんが紡ぎ始めた言葉は、言い切られることなく遮られる。
高知だかどこだったか、その独特な口調に大方予想はついていたけれど。
ゆっくり声の方に視線を向けると、旭ちゃんの後ろには予想通り椎名くんの姿。
でも彼だけじゃなく、そこには大城くんの姿もあった。