依存偏愛
「………何、笑ってんの。」
「ふふっ、何となく。」
「意味わかんない。」
「いいの!わかんなくても。」
訳のわからない会話を交わしながら、雫も自分のベッドへと腰掛けた。そして眠そうに欠伸なんかするから、あたしはベッドに放り投げた携帯で時間を確認する。
――まだ、9時半じゃない。
「………雫、疲れた?」
「え? あぁ、うん。2日しかないから、少し張り切っちゃって。」
「そう。」
今年のこの合宿は、一泊二日。例年より短いことは、あたしも知ってる。だからこそのハードな練習日程を組んだのは、顧問2人と神部と結城だし。
マネージャーのあたしまで合宿後には筋肉痛になりそうな気がする。明日、最終日の練習日程を頭に思い浮かべながら、真っ白い天井を見つめて小さく息を吐いた。
「旭ちゃん?」
「んー、何?」
「明日は朝練もあるし、もう寝る?」
「うん。」
……そういや、朝練もあるんだっけ。
朝食前の、走り込みとサーキット。あたしは低血圧だし、しかも朝は寒いし。めんどくさいな、とか思いながら、雫が電気を消すのを見ていた。