依存偏愛
「……片倉先輩と話すの、久しぶりですよね。」
「………うん。」
「オレ、会わないうちに片倉先輩から忘れられないか、心配だったんです。」
「そこまで記憶力、悪くない。」
知ってますよ、そう言って苦笑を零した大谷の視線が、あたしに向けられた気がした。
でも相変わらず前だけを見つめるあたしに、大谷は核心をつく問いを投げかける。
「…――どうして、星南にそのまま進学しなかったんですか?」
「……え?」
「まさかオレ、片倉先輩が外部受験するなんて思ってなかったんです。」
あたしが、どうして星南に行かなかったか?
そんなの、あたしに推薦の来ていた藤宮を、雫が進めてくれたからに他ならない。
それ以外の理由はない。
だから何で、大谷がそんなふうに、あたしが星南にいると思っていたのか。
ゆっくりと視線を向けて「何で。」と問えば、大谷は姿勢を正して言葉を紡いだ。