依存偏愛
「だって、片倉先輩と笹川先輩って、いつも一緒に居たじゃないですか。だからオレ、片倉先輩は笹川先輩と一緒なもんだとばかり……」
――ああ、そういう……。
そんな、心許ない理由か。
短絡的に述べられた推測に、ゆっくりと目を閉じる。そして、言いたいことを頭の中で組み立ててから、またゆっくりと目を開いた。
「一緒、だよ。たとえ離れていたって、あたしと雫は一緒。そんな簡単に切れるような、絆じゃない。」
傍にいることが、全てじゃない。
あたしと雫は繋がっている。寂しさとかは確かにあるけれど、どんなに離れていたとしても、心は、傍にある。
「オレにはよく、わかりません。」
「わかんなくても、いい。理解は、求めてない。」
あたしの言葉に、困ったように苦笑して大谷は視線を伏せた。でも本当にわかんなくてもいいんだ。わかろうとすること自体が、間違いなのだから。
あたしと雫の間に、他者の介入は望まない。必要ない。
でも、あまりにも無邪気に、純粋に、あたし達の歪んだ絆を理解しようとする大谷は、とてもいじらしい。