依存偏愛
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朝練を無事に終え、昨日の夜とは打って変わって静かな朝食の後は、合宿2日目、最終日の練習だ。
昨夜寝るのが遅かったからか、未だに睡眠を欲する身体に鞭打って仕事に励む。……けれど我慢しきれなかった欠伸に、雫が苦笑する。
「旭ちゃん。眠れなかったの?」
「……まあ。」
あまり、雫には心配も迷惑もかけたくないんだけど。再びもれそうな欠伸を必死に噛み殺しながら、合宿のシメと称して始められたゲームへと視線を投げた。
今、ボールを持っているのは神部。
上手く敵のディフェンスを抜けて、ムカつくぐらい綺麗なフォームでレイアップなんか決めるから、静かに喜ぶ雫の横、あたしからは思わずため息が出る。
「旭ちゃん!やっぱり神部先輩って凄いね!」
「……ムカつく。」
「そんなこと……あっ!」
24秒とか5秒とかを計るため、ちらちらタイマーに向けていた視線は、雫が突如あげた声により、再びゲームへと戻される。
するとちょうど、カットしたボールを椎名が結城にパスしているところだった。