依存偏愛

◆◆◆


朝練を無事に終え、昨日の夜とは打って変わって静かな朝食の後は、合宿2日目、最終日の練習だ。

昨夜寝るのが遅かったからか、未だに睡眠を欲する身体に鞭打って仕事に励む。……けれど我慢しきれなかった欠伸に、雫が苦笑する。


「旭ちゃん。眠れなかったの?」

「……まあ。」


あまり、雫には心配も迷惑もかけたくないんだけど。再びもれそうな欠伸を必死に噛み殺しながら、合宿のシメと称して始められたゲームへと視線を投げた。

今、ボールを持っているのは神部。
上手く敵のディフェンスを抜けて、ムカつくぐらい綺麗なフォームでレイアップなんか決めるから、静かに喜ぶ雫の横、あたしからは思わずため息が出る。


「旭ちゃん!やっぱり神部先輩って凄いね!」

「……ムカつく。」

「そんなこと……あっ!」


24秒とか5秒とかを計るため、ちらちらタイマーに向けていた視線は、雫が突如あげた声により、再びゲームへと戻される。

するとちょうど、カットしたボールを椎名が結城にパスしているところだった。
< 54 / 212 >

この作品をシェア

pagetop