依存偏愛
そして、あっと思う暇もなくスリーポイントラインから放たれた結城のシュート。リングに当たることなく、シュッと音をたててボールはゴールのネットを揺らした。
「あー、逆転されちゃった。」
残念そうに得点を加算し、雫はため息を吐く。別に何がかかってのゲームでもなし。そんなに落ち込まなくたっていいのに。
そんなふうに思った刹那、前半終了のブザーが鳴り響いた。これから5分の休憩を挟んで後半戦が始まり、それで合宿は終了となる。
チームごとに固まって座る彼らにドリンクやタオルを手渡し、あたしは最初にいた位置に腰を下ろした。
「旭先輩!」
そして、もうすぐ休憩終了となる時間帯、タイマーをいじっていたあたしにかけられた頭上からの声。
呼ばれ方で誰だかわかったけれど、あえて振り返って視線を上げれば、額に汗を光らせたサクがあたしを見下ろしていた。
「……何。」
「はい!オレ、後半は頑張ります!だから、見ててくださいね。」
そしてそれだけ言い残し、あたしに背を向ける。っていうか、あたしサクの敵側なのに。しかもタイマーやってる時点で、ちゃんと見てるし。
そんなことをわざわざ言いに来たサクに、思わず頬が緩む。