依存偏愛
刹那、気づいた視線。
その先を追えば、案の定、それは雫からの視線で。信じられないとでも言いたげに見開かれた瞳が、不安そうに揺れる。
――そういえば、まだ雫には言ってなかったんだ。サクとの、名前のこと。
「……あのさ、雫、」
でも口を開きかけたあたしの言葉は、休憩終了を告げるブザーの音に掻き消された。
言い切ることができなかったままだったけれど、訝しげな表情を浮かべた雫も始まる後半戦へと視線を向けたので、あたしもつられるように前方へと視線を向ける。
ゲームは前半同様、入れては入れられ、の繰り返し。刻一刻と過ぎていくゲームの中は、熾烈な点の取り合いだった。
そしてそんな中、サクは宣言通り誰よりもよく動いて、長身を生かしたプレーをしていた。
最後、ブザーが鳴るのと同時に決めたシュートは本人も嬉しかったらしく、決まった瞬間、照れたように笑っていた。