依存偏愛

でも雫の今の態度で、大方予想していた原因について絶対的な確信が持てた。

異変を感じたのは、ゲーム中、後半が始まったあたりから。あたしがサクに、雫の目の前で「旭先輩」と呼ばれた頃から。

……だから、すぐわかる。
それが原因で、雫の態度が変になったのだ、と。
あたしがサク、サクが旭先輩。お互いにそう、名前を呼び合っているのを聞いたからだ、と。


「……あれ。片倉さん、どうかした?」

「………別に。」


バスに戻ってからかけられた結城の言葉に冷たく返し、窓の外へ視線を投げた。ちょうど駐車場を出ていく星南のバスを、ただ見送る。

――ああ、やっぱり。
やっぱり、雫に何も言わないでサクと勝手なことをしてしまったのは、間違ってたのかもしれない。
あたしは、雫を傷つけたのかもしれない。

帰ったら、またメールしよう。
ちゃんと、説明しよう。
そうしなきゃ、ダメだ。

別れ際、泣きそうだった雫の表情が頭を支配する。

……何だろう、この胸騒ぎ。
何だかとても、嫌な感じがする。





【CHAPTER:02/side*ASAHI/END】
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