依存偏愛

相変わらずあたしに注がれる視線を振り切って、あたしは椎名に背を向ける。

背中に突き刺さるような視線が痛かったけど、振り返らずに足を進めた。


「……仲良しな双子と、何かあったんか?」


けれど、そうポツリと、そのわりにハッキリとした口調で投げられた問いに、まるで凍りついたかのようにあたしの足は止まった。

ギギッ、と音がしそうな首を椎名に向け、さっき同様楽しそうに笑みを噛み殺す椎名へと視線を向ける。


「笹川雫とおまん、双子なんじゃろ。」

「………な、んで……?」


何とか絞り出した声は、動揺を隠しきることなんかできる訳もなく、恐ろしいほど、震えた。

だって、どうして。
誰にも、あたし達が双子だってこと、話したことなんてないのに。

何で、よりによって椎名が……


「俺の情報網を、ナメてもらっちゃ困るぜよ。」


あたしの困惑を知ってか知らずか、事も無げにそんなことを自慢されても。
……全く、油断も隙もあったもんじゃない。
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