依存偏愛
そして、
「離して……っ、」
「何にもできないんだからさー、せめて人の話くらいちゃんと聞きなっての!」
まるで掴まれた手を放り投げるように、思い切り突き飛ばされた身体。
足首が嫌な感じで捻られるのを感じながら、倉庫内の壁に身体が打ち付けられる。その場に尻餅をついたけれど、嘲りは未だやまない。
「……っ、」
「ほーら。やっぱりアンタは、片倉がいないと何にもできないんだ。」
…――言われなくたって昔から、そんなことはわかってるよ。
私は旭ちゃんがいないと、何もできない。
小さい頃だって、旭ちゃんがいたから私は、生きてこられたんだ。
気持ち悪い、吐きそうな雰囲気が漂う薄暗い倉庫の中、座り込んだまま近寄って来る足を見つめる。これから何をされるのかと思うと、過去の記憶と重なり、身体が硬直した。
すると刹那、そんな雰囲気をぶち壊すように、低くよく通る声が倉庫内に響き渡る。
「……何してんですか?先輩達。」
ドア付近に立ち尽くす彼の顔は、逆光ですぐには判別できなかったけれど。ギロッと向けられた鋭い眼光に、やって来た彼は吉沢くんなのだとわかった。