依存偏愛
何とも言えない沈黙が、再び私達を包み込む。気まずくて顔を背ければ、ぽつりと、大城くんが言葉を零した。
「……そういえば。」
「え?」
「そういえば笹川、どうしたん?最近、元気あらへんやんな?」
さっきとはすっかりすり変えられた話題に内心安堵しながら、また2人で歩みを進める。
でも、私の元気がないって?
自覚してなかった以上、その理由を考えるのは困難で、微かに首を傾げた。
「……そんなこと、ないんじゃないかな。私、普通に元気だよ。」
「……片倉と、喧嘩でもしたん?」
「え?」
合宿最終日の自分らの雰囲気が、何だかぎこちない感じがしてん。
私の答えを軽く無視し、そう言って何気なく私へと視線を向けてくる大城くんを、私は見ることができなかった。
だって、別に、そんなにわかりやすい態度をとったつもりは……
そこまで考えて、ふと思い出す。
大城くんにはあの日、旭ちゃんとの誓いの傷痕を見られてしまったのだ、と。
あのあと何も無かったから忘れていたけど、この彼が気にしていないはず、ない。