年上王子様とのアリエナイ××②


理恵ちゃんの声にはっと我に返るといつの間にか旅館に戻っていて。

部屋にはあたしと理恵ちゃんの二人きり。



「みんなは?」


あたしの質問に理恵ちゃんはお風呂に行ったよ冷静に答えてくれた。


「そうなんだ」

いつの間にかそんなに時間が流れてたんだ。


あたしの知らないうちに・・


「あたし・・バカみたい」

「柚子?」

「翔さんのそばにいたのに。奥さんなのに。何も知らないなんて、
翔さんがどれだけ大変な立場になってたかなんて」

「しっかりしなよ、柚子」

「きっと翔さんも後悔してる、あたしと結婚なんてしたから。
きっともっといい奥さんがそばにいたらきっと」

「柚子。そんな事無いって」


理恵ちゃんがあたしの背中を優しくなでる。


「あたし、本当にバカだよね」

「柚子」



そのとき


ピピピピピピ!!携帯がうるさいくらい部屋に響いた。


「柚子電話だよ」

なかなか出ようとしないあたしに理恵ちゃんが促す。

「出たくない」
「柚子」

いつまでも鳴りやまないせいと、理恵ちゃんのすすめで仕方なく電話にでると

「もしもし。柚子?」

電話の相手は今一番声の聞きたくない人からだった。


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