年上王子様とのアリエナイ××②
うっすらと瞳を閉じると
目の前にいたのは
「中村さん・・」
あたしの手を握っている中村さんだった。
ぐるっと見渡すとどうやらここはあたしの部屋らしい。
「大丈夫か?」
眼鏡を通したその瞳はいつもより勢いをなくしていて。
そんな姿に心配をかけてしまったんだなと反省させられる。
あまりにもキョロキョロしているあたしを思ってか
「あいつなら帰ったぞ」
冷たく言い放つ。
そっか、帰ったんだ。
「すみませんでした。なんか迷惑かけて」
「俺は今回北原グループを潰すために来た」
あたしの言葉の返事とは全く違う答えにどんな反応をしていいのか分からなくなる。
それでも話を続ける。
「これで俺の仕事は終わったし、俺は東京に戻る」
「はい」
「お前は?行かないのか?」
「え?」
「直接聞かなくてもいいのか?」
そっか、これを言うためにわざわざ。
でも
怖い。
会って拒絶されるのが何よりも怖い。
渋ってるあたしに
「あいつの気持ちは聞かなくてもいいのか?」