年上王子様とのアリエナイ××②
中村さんの怒った声が聞こえる。
「そんなの」
「直接聞かなくていいのか?」
聞きたいよ。
だってあたし達夫婦なんだよ?
勝手に離婚を言われて納得出来るわけないじゃない。
「恐いか?」
「え?」
顔を上げると中村さんがそっとあたしの手を握ってくれる。
「震えてる」
言われて初めて気が付いた。
手が...ううん手だけじゃない。
体中が震えて
そして一筋の涙が頬を伝って落ちる。
「俺が付いていくよ」
「中村さ..」
「だから今はゆっくり休め」
そっと肩に手を置かれて
そのまま優しく抱き寄せられる。
反対の手はしっかりと握ったまま。
「休め。俺が付いてるから」
こくんと頷くと
再び瞳を閉じた。