年上王子様とのアリエナイ××②
そういえば
最初に翔さんに結婚の提案をされたときもこうして車に乗ったんだっけ。
最初は何言ってるんだろうって思った。
この人頭おかしいんじゃないかって。
でも少しずつ翔さんを好きになって
距離が近づくにつれて
たくさん知るようになった。
あたしの自殺を止めたのも翔さんは家族を失った悲しみを知っていたから。
いつも子供で役にたてなかったあたしに
「傍にいるだけでいい」って言ってくれた事。
あたしのどんな小さなわがままにも
いつも優しく見守ってくれてた。
「着いたぞ」
いつの間にか目的地に着いて車が止まって、目の前に移ったのは
「うわ・・海だ」
広くて大きな海だった。
車から降りて、ただざわめく波の音に耳を傾ける。
今まで何度も海は見てきたけれど。
この季節のこの時間の海を見たのは初めてだ。
風が痛いくらい冷たい。