年上王子様とのアリエナイ××②
普段あまり張り上げない声に驚いて素直に席に座る。
お母さんは向かいに座って、それから大きく深呼吸をした。
そして重たい口を開いた。
「柚子には絶対に秘密にしてほしいと言われたの」
誰かは聞かない。
きっとその相手は・・あたしが一番よく知ってる人だと思うから。
「本社で元営業部長が赤字を出した事件、覚えてる?」
静かに頷いた。
もちろん、忘れるわけはない。
翔さんが戻るきっかけになった事件だから。
「その営業部長はね、三橋建設のスパイだったのよ」
「え?」
「赤字にしてしまい、その上他の会社や銀行からの融資をさせなくしたの。
三橋にわざと向かせるためにね」
「そんなの・・ひどいよ。訴えられないの?」
「これは悪魔で翔さん側の推測よ。肝心の証拠が揃っていないの、
だからどうすることも出来ない」