年上王子様とのアリエナイ××②
もっと素直になれればいいのに。
寂しいって素直に抱きつければいいのに。
でもそうしたら絶対に翔さんはお仕事を投げ出してしまうから。
おじい様のことなんてどうなってもいいって
そう言ってしまいそうだから。
「柚子」
長い手が伸びて、あたしの体を後ろから抱きしめる。
何度も
何度だって
この温もりを感じるのは好きだ。
「浮気..しないでね」
「柚子?」
「たまに電話しちゃうかもしれないけど、ちゃんと出てね」
「柚子」
「それからあたしはいつだって」
どこにいたって
翔さんの奥さんだからね。
そう言おうとしたのに
「愛してる」
翔さんが耳元でそう囁いた。