年上王子様とのアリエナイ××②
「君への罰ゲームはまだしてないんだからたくさんとっておかないとな」
「なんで?そんな意地悪なの?」
ふてくされた可愛い声が耳をくすぐる。
数日ぶりに聞く愛おしい人の声はやはり心を落ち着かせて
くれるものなんだと改めて実感する。
まぁ目の前では一名その電話を望んでいない者もいるけれど。
榊が今にも怒鳴り散らしそうな勢いでこちらを睨んでいる。
分かってるさ、
でもどんな激しい戦いをする戦士だって休憩は必要だろ?
「意地悪?勘違いをするな。俺はいつだって君に紳士的に接してるつもりだよ」
電話を左手で持ち、渋々資料に目を通す。
そこに書かれた文章に一気に目を通し判を押す。
「今なにをしてるの?」
“仕事中だよ今も資料片手ににらめっこしてるところだ”
なんて言ったら君は絶対に怒るだろうな
そしてすぐに電話を切ろうとする。
だから俺が言えるのは
「今、夜景を見ている」
そうやって君が遠慮しなくていいような小さくて優しい嘘。
これくらいなら君も許してくれるだろ?