年上王子様とのアリエナイ××②
「そんなことないです!もし私でよければいつでもお話聞きますから!!」
先生が立ち上がり翔さんの手をぎゅっと握る。
それを見た瞬間、じわっともやもやしたものが胸に広がった。
「ありがとうございます、先生」
翔さんはやっと先生に視線を合わせてその手を握り返した。
「それじゃあ、高島さん、また明日」
「はい、さようなら」
玄関で靴を履いた先生がまだうっとりしたように翔さんを見る。
「せ、先生?」
「あの、北原さん・・もしよろしければ・・その」
今度は急に下を向いてもじもじさせる先生。
なに?今度は翔さんの連絡先教えてくださいとかいうの?
「その連絡先でも」
・・・まじで?
「喜んで」
嘘でしょ?
翔さん、たぶん先生が翔さんの態度見て絶対に気づいているのに
それなのに教えちゃうの?
「と、言いたいところですがあいにく今日は携帯と名刺を
持ち合わせていないのでまた後日にでも」
翔さんがそう言うと
「分かりました。それじゃあ楽しみに待ってます」
頬を赤くさせると先生はあたしに近付いて小さく耳打ちをして
今度こそ本当に帰った。