年上王子様とのアリエナイ××②
あたしの質問に翔さんは一瞬驚いた顔を見せたけど
「そうだよ」
あっさり認めてしまった。
「そんなことでわざわざ来なくてもいいから!!」
「何で?愛する妻に近づく男に釘を差しにくるのはいけないこと?」
「う」
だから何でそんな恥ずかしいことを
「もう翔さんのばか!!」
「俺が聞きたいのはそんな言葉じゃないんだけど?」
「あたしの事、もっと信じてよ!」
「だったら何で俺に進路の事を言わなかった?」
またその話題に戻るの?
「翔さん、あたしは翔さんの事を想って黙ってたんじゃない!翔さんただでさえ今
すごく忙しいのに、そんな人に相談なんて出来ないよ!」
「柚子..」
あぁ何でだろう。
どうしてだろう。
久しぶりに会ったのに。
もっと違う事がしたいのに。
なんでこんな事ばっかり言っちゃうんだろ?
こんな嫌な言葉ばっかり浮かんでそれを口にしちゃうんだろう!
「中村さんの事もそう。智香子さんに尾行させるようなことして!」
「それは信用してないんじゃない」
「じゃあなんなの!?」
「ただ心配なんだ」
「俺のかわいい奥さんが汚れた虫に言い寄られてないか、とか」
「一人で泣いてないかとか」
「翔さん」
「離れているから余計心配なんだ、君が俺から離れてしまうんじゃないか、とか」
そんなこと、ないのに。
こんなに好きで
あたしの気持ちはもう翔さんに捕らわれているのに。