年上王子様とのアリエナイ××②


「大人げないな、俺も」

クスっと小さく笑うと手が離れて反対を向く。


「俺は君の人生を貰ったようなものなのに。だから君の未来の事を、俺達の事を君の口から聞く権利も義務もあるのに。二人の事だから知りたいなんて
..そう思ってたのは俺だけだったんだな」


翔さん..


「明日は早いから」


その声が寂しそうで悲しそうで


「翔さん」

思わず後ろから抱きしめた。



あぁ、あたしって本当に馬鹿だ。

忙しいとか

そんなの理由にならない。


翔さんはいつだってあたしのことを考えて

あたし達の未来の事を考えていてくれるのに。


あたしってば結局は自分の事ばかり。


「あたしは翔さんが好き、翔さんだけが好きなの」

「柚子?」

「進路の事も相談しないでごめんなさい。さっきも・・あの家庭訪問の時だって
すごくモヤモヤしてイライラして、やきもちなんか焼いちゃって。」



・・あたしなに恥ずかしいこと言ってるんだろう?

でも聞いて欲しい。

あたしの素直な気持ちを。



「それだけ翔さんが好きなの。もう離れられないんだから」

「柚子・・」

翔さんがゆっくりこちらを振り向きあたしを抱きしめる。


「進路の事も、もうちゃんと話す。だからお願い、許して」
< 94 / 239 >

この作品をシェア

pagetop