執事と共に聖夜を。
「遺産とかの類はとっくに処理されるから、部屋に残されてるのは形見になるようなものばかりなんだ」

「だから、十年以上もほっとかれていたんですね」

「まあそんなところだなあ。ただ……」


シラヤナギは初めて思案気な表情を見せた。


「ただ、なんです?」

「秘密を、どこかに隠した、と聞いてね。それだけが気がかりなんだ」

「秘密?」

「確かに、この部屋から火薬とかが出てきたこともあるから、嘘ではないようだよ」


両親の部屋が、急に物騒なものに感じた。


「ま、とにかく頑張って」


シラヤナギは、そう言って出て行った。
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