執事と共に聖夜を。
「おはよう、春樹」
今更ながらの挨拶。
「おはようございます、お嬢様」
戸惑いながらも春樹と呼ばれた青年は挨拶を返した。
その、整えられた黒い髪が縁取るのは、とても端正な印象を抱かせる顔だ。
高い鼻に切れ長の目。
しかし、その眉間にはくっきりとしわがある。
「……寝心地がいいとは思えないのですが」
ようやく春樹は床に膝を着きながらそう言った。
「悪くはないわよ。冷たくて」
しかし、床についた春樹の膝は早くも冷え始めた。
「馬鹿な事を言っていないで」
「失礼ね」
「起き上がれますか」
「馬鹿ね。それができないからこうしてるんじゃない」
春樹は、ため息をついて恵理夜の背中に腕を回した。
――恵理夜は、血液の成分が不足する病にかかっていた。
免疫が低く、血も止まりづらかった。
今更ながらの挨拶。
「おはようございます、お嬢様」
戸惑いながらも春樹と呼ばれた青年は挨拶を返した。
その、整えられた黒い髪が縁取るのは、とても端正な印象を抱かせる顔だ。
高い鼻に切れ長の目。
しかし、その眉間にはくっきりとしわがある。
「……寝心地がいいとは思えないのですが」
ようやく春樹は床に膝を着きながらそう言った。
「悪くはないわよ。冷たくて」
しかし、床についた春樹の膝は早くも冷え始めた。
「馬鹿な事を言っていないで」
「失礼ね」
「起き上がれますか」
「馬鹿ね。それができないからこうしてるんじゃない」
春樹は、ため息をついて恵理夜の背中に腕を回した。
――恵理夜は、血液の成分が不足する病にかかっていた。
免疫が低く、血も止まりづらかった。