執事と共に聖夜を。

「ね、冬休みどうする?」

「冬休みってか、クリスマスだよー」

「カラオケパーティーでもやっちゃう?」


冬休み前日、教室の雰囲気は完全に浮足立っていた。

恵理夜は、それを遠巻きに見ながら歩き去っていく。


――その時、


「……ぉい!出せよ、持ってんだろ」


通りかかった男子トイレから、そんな声が漏れてきた。

恵理夜は、思わず足をとめた。


「ったく、シケてやがるぜ、あいつ」


あからさまに紙幣を握りながら3人の男子生徒が出てきた。


「何見てんだよ」


恵理夜と目が合う。


「シケた人だな、と思って」


恵理夜は、無表情にそう告げた。

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