執事と共に聖夜を。
「それに、私は秘密を盗もうとなんてしていませんよ」


恵理夜は、両手を背中にゆっくりとシラヤナギの前に立った。


「これが、叔父様が欲しがっていたものです」


恵理夜はシラヤナギの額に銃口を突き付けた。


「これが、父が残したものです」

「これが、義兄さんが残したもの……?」


シラヤナギは見たことも無いほど目を見開いていた。


「嘘だ……」

「嘘ではないわ」


恵理夜は、引き金に指をかけた。


「これが、パパの残したものよ」


同じ台詞を繰り返す。

そして躊躇いもなく、引き金を引いた。


――ぱぁん


軽やかな音を立てて火薬が弾けた。
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