執事と共に聖夜を。
カッと来た一人がごみ箱を蹴飛ばした。

その威嚇にも恵理夜は動じない。


「大変ね、後でごみ拾いしなきゃならないなんて」

「んだと……!?」


脅そうとしたのだろう。

男子生徒の一人が恵理夜の肩を掴む。


「触らないで」


恵理夜は、その細い肩かに伸びてきた手を逆につかみ上げた。

そして、そのわき腹をぽんと叩いた。


「なっ……」


その男子生徒は、膝から力を失い、尻もちをつくように倒れた。


「そうか、てめぇゴクドーんとこの」

「関係ないわ」


恵理夜は、その手から紙幣を抜き取った。

そして、中から出てきた生徒に返した。




しかし、恵理夜は知っている。

彼らはまた同じことを繰り返すことを。

恵理夜の行為には、何の意味もないということを。
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