執事と共に聖夜を。
――ぱぁん


軽やかな破裂音とともに極彩色の火花が目を焼く。


「音だけじゃないんだな。綺麗だ」


シラヤナギはしみじみと呟いた。


「……昔はこれらで無茶ないたずらをしたものだ」

「叔父様でも?」

「ああ、親父にはよくげんこつで怒られたよ」


いつもなら『大旦那』と呼ぶところを自然と『親父』と呼んだ。

そんなシラヤナギに恵理夜はつられて微笑んだ。


「これが、父の願いです」


銃を取りながらそう言った。


「銃とは、こうあって欲しかったのでしょう」


――ぱぁん


また火花が散る。


「誰かを笑顔にする。時には悪戯で怒られながら痛みを知る……そんなものであって欲しかったのでしょう」

「義兄さんの、願いか……」


シラヤナギは申し訳なさそうな顔をした。
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