新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]

 俺は慌てふためいて、研究所のシンに緊急メールを入れた。


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subject;

 エマージェンシー


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 おい、シン!


 補充用のDBがねえけど、どうするんだ?


 返信乞う


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 返って来たのは憎らしいほど冷静な音声だった。


『トランクの底だ、リュウ』


「ん? ……ああ、有った有った。こんなトコに隠されたら、税関の麻薬犬にだって見付けられないぞ? シン」


 俺はレシーバーを肩で挟みながら彼をなじり、隠してあった試験管を注意深く取り出した。


『衝撃から守る為だろう、常識だ。リュウがしっかり有るべき場所を探さないから……』


「はいはい、俺がわるうございました」


 たしなめるシンの台詞は受け流し、俺は試験管の中を透かし見る。


ドラゴンブラッドと呼ばれるエネルギーその物を凝固させた結晶。


名前の通り血のように赤いこのDBには、平均的な家庭一年分の電力に相当するエネルギーが凝縮されている。


これが無ければ電気も何もかもがストップする。


そうなったら俺は影から侵入されて『オシマイ』だ。



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