新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
そして俺たちが別に隠れるでもなく、正門から堂々と抜け出し、駅へと続くバス通りに出た時だった。
「ああっ! 見てみろあの子、すっげぇ可愛い! かーのジョーっ♪」
また純一郎の悪い病気が始まった。オレンジ色の頭はその速度を上げ、ターゲットに向かってまっしぐら。【自動追尾モード】に入っていた。
「おいおい、折角抜け出してきたんだから、サ店でも行ってゆっくりしようぜ? おおーい、純っ……あーあ。行っちゃった……」
あいつはいつもこうだ。自分から誘って来た癖に、可愛い子を見付けるとすぐ後にくっ付いて行ってしまう。
───勘弁してくれよ───
とは言っても。ひとり制服姿でうろついていても、先輩に見付かったら難癖付けられるだけだ。
運悪く相手の機嫌を損ねでもしたら、かつあげされて、身ぐるみ剥がされてしまう。
「仕方ない。帰ってテレビでもみっか」
ゲームセンターで時間を潰す程持ち合わせが無かった俺は、1人寂しく家路を急いだ。