新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
「ああっ! 浮いた。浮いたゾッ!」
俺はテレビの前だということを忘れて叫んだ。いつの間にか両拳には、たっぷりと興奮の汗が握り締められていた。
スティーブンスピルバーグの『未知との遭遇』のテーマをBGMに、フワフワと浮かぶその様は、まるで衝撃映像などでよく目にする、あのUFOそのものだったからだ。
「すげえ! UFOだ! UFOだよ」
昔はどこの家庭もそうだったブラウン管式のテレビは、回路の内部に非常に高い電圧を必要とする箇所がある。
ハカセはその電圧を利用して『コロナ放電』という現象を起こし、それに伴う空気の流れを動力に、アルミの輪っか4個で出来たUFOを浮かせたのだ。
───物理学って楽しい。そうか、物事には理屈があるんだよ。
その理屈を知り尽くせば、この世の全てが解るかも!───
何か熱い衝動が身体中を駆け巡っているのを感じる。未来へと続く果てしない道が、たった今俺の中で拓かれた。
それが俺と、原口龍太郎博士とのファーストコンタクトだった。