新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
しかし、俺が見掛けたあの女性には、影から身を守る術がないだろう。
手ぶらで無防備に歩いて行った彼女は、影の存在すら知らない可能性が高い。
あの時見送った、その儚げな後ろ姿ばかりが思い出された。
影に追いつめられ、悲鳴を上げる彼女の顔を何度も想像してしまう。
その恐ろしさを熟知している俺は、居ても立ってもいられなくなった。
───やっぱり放っとけない───
苦い溜め息を吐くのと同時に、彼女の後を追って走り出していた。