新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]

 指示された通り、少し青み掛かった粉末の全量を、食事と一緒に出したワインに混ぜた。


「頭痛がするので、先に休ませて下さい」と頼んで、私はクローゼットに潜り込んだ。


そのまま寝てしまったのは昨日のこと。


そうして……。


───確かに夫は消えたらしい。


住んでいた街とともに。


いや、ひょっとしたら、街どころか、東京都とか、日本とかいう規模のものと共に───


 歩けば歩くほど、これが夢ではないという実感が増してくる。


恐ろしいほどの解放感と、不思議な孤独感。


───自分の身の上に、


起こったことを知りたい───


 私は手がかりを求め、さまよい続けた。



< 8 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop