ストロベリー革命
 直は天花から離れるように走ってどこかへ行った。

「……ごめんなさいっ」

 一人になった天花は、歯を食いしばって自分が犯した事の重大さを痛感した。

 今にも溢れ出そうな涙を流さまいと、空を見上げる。

 夕焼け空は皮肉にも、二人を包み込んでくれるような優しい色をしていた。



「俺、最低だっ……。俺は天花の涙なんて見たくないよ……」

 また、天花から離れた場所にいる直の目からも、堪えていた涙が次々と溢れ出した。

 学園を出て行く事より、天花に涙を流させたほうが許せない。

 直は自分を責めた。



 ――この出来事から何日か経つが、未だに理事長からは何の連絡もない。

 直は普段通り女の子として、この学園で生活している。

 それは天花も同じだった。

 果たして理事長は何を考えているのか。

 息子ながら直は母親の考えをよみ取る事が出来ない。

 二人の間に一つ変化した事もある。

 二人の部屋に天花の姿はない。

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