ストロベリー革命
 天花が片手に虫を持って、自分の真正面に立っている。

 直は今は女の子だという事を忘れて、素丸出しで悲鳴をあげた。

「何ー? どうしたのー?」

 悲鳴の理由がよくわからず、天花は一歩一歩直に近づいて行く。

「やぁッ、ホントにダメダメダメぇええ―――ッ!!」

 目に涙を浮かべながら、両手で顔を隠すように、その場にうずくまった。

「……泣いてるの? よしよし」

 天花はうずくまっている直の頭を撫でた。

「……っ!! って! その手の中にいる虫を俺に近づけるなあッ!!」

 可愛げのある事をやってみせても、天花の手にはちゃんと虫も付属している。

(ドキッとした俺の純粋な気持ちを返せっ!)

「あっ、これー? 直は虫が嫌いなのねー。そーゆー事は早く言ってくれないとー」

 天花はやっと虫を逃してやった。

 恐るべし田舎娘。する事がないからといって、自ら進んでこんな所に来るんじゃなかった、と直は後悔した。

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