ストロベリー革命
 初対面のはずなのに、両者一歩も譲らない。

 この神聖な乙女の園で、大声をあげて言い合いなどあってはならない事。

 それに天花は気付いていないのだ。

 “喧嘩は堂々とやれ”とは、じいちゃんの口癖である。

「そ、そうなの? 都会は怖いな……」

 お嬢様の勢いに負けた。天花にとってこの学園は未知すぎる。

 今まで見た事もないお嬢様をはじめ、多すぎる女子生徒達。

(……すっごく帰りたい)

 編入一日目、早すぎるホームシックで泣きたくなった。

「黒河さん、大きな声をあげてはいけません。もっとおひとやかになさい」

「は、はいっ」

 ついには名指しで注意されてしまった。

 天花の帰りたい願望は強くなるばかりである。

「あなた天花さんと言いましたっけ? 面白いですわ。お友達になってあげてもよくてよ」

 思いもよらない言葉が隣から聞こえてきた。

 “友達”という単語を聞いた瞬間、天花の表情は花が開くように明るくなる。

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