ストロベリー革命
「……本当? あたしと仲良くしてくれるの!?」

「ええ。私、あなたのような人見た事ありませんもの」

「じゃあ今から友達ねっ」

 これがこの学園で初めて嬉しい出来事になった。都会もすてたもんじゃない。

(じいちゃん、ばあちゃん!! あたし友達出来たよ)

 地元では当たり前のようにいた友達に、今ではとても感謝している。

 友達を作る事がこんなに難しいなんて思ってなかったから。

 知ってる人が誰一人いなくても、なんだかこれから楽しくなりそうだなー、と天花は思った。



 その日の放課後、校舎から三百メートルくらい離れた場所にある寮に行くよう言われた天花は、一人迷っていた。

 田舎でこんな大きな建物は見た事なかったし、まず畑や田んぼがまったくない。

 緑がない。自然がない。ついでに虫もいない。

「わ―――んっ!! どうやって寮に行くのー? ここどこ?」

 見知らぬ土地で一人っきり。

 さっきは楽しくなりそう、と言ったが、これほど寂しい事はない。

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