ストロベリー革命
「いいけど、俺が買うの?」

「あたしお金持って来てないから買えなーい」

「お金くらい持って来いっ!!」

 そう言いながらも直は、種もホウキと一緒に買ってやった。

「ありがとー。花が咲いたら、あたし直にあげるねー」

 隣では天花がピョンピョン跳ねている。

 その汚れのない純真無垢な笑顔を見た瞬間、文句を言おうにも言えなくなった。

(な、なんか俺天花に甘くない……?)

 自分でわかっている通り、直はいつの間にか天花の言う事を何でも聞いている。

 天花はアホだから直に言う事を聞かせようなど、そんなズル賢い考えは頭にないだろう。

 ということは、全て直自身が甘やかしている事になる。

(……あんな虫好きの変態に翻弄されるなんて、俺絶対おかしいっ)

 隣を見れば、

「だんご虫ーだんご虫ーくるっと回ってだんご虫ぃー」

 縁石の上を歩きながら、ワケのわからない自作の歌を唄っている田舎娘が一人。

 両手を広げてバランスをとっている。

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