ストロベリー革命
「あ、もうすぐ電車の時間だ」

　近くにある公園の時計を見てみると、電車の時間まであと五分になっていた。

「間に合うのー？」

「わかんない。このまま歩いてたら無理かも」

　直は急に立ち止まった。何かを考え込むように。

「どうしたのー？　電車行っちゃうよー」

　すると心配していた天花の手を、直がギュッと掴んだ。

「はは、走るよっ」

　天花は手を引っ張られて駅まで走る。

　女の格好をしているが、一応本物の男の子と手を繋いでいて、ドキドキしているのかと思えば、だんだんと笑顔になっていっている。

　一方、直のドキドキは尋常ではない。

　顔は赤く、心臓は跳び跳ねるように音をうつ。

　気付かないうちに、手汗をびっちりかいていた。

　駅では素早く切符を買い、ホームの階段を二人で駆け上る。

　すでに電車が来ていたので、ドアが閉まらないうちに跳び乗った。

「間に合ったねー」

　天花は空いていた座席に座って、息を整える。

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表紙・目次

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